はじめに
・この作品は、創作友達セイバーさんのオリキャラをお借りして、管理人ルピナスが描く冒険ファンタジーです(*'-')
・D・R-クロニクルの著作権は、セイバー及びルピナスにあります
よってブログ内の画像や文章など無断転載、転写、複写は禁止しております
御理解下さい
by ルピナス
プロローグ [漆黒の森の魔女]
わたしのイリル
わたしの可愛いイリル
あなたのいない世界なんて
……ずっと私が守ってあげる……
一切の陽光を遮るようにして生い茂る森の木々の間を、無数の小さな光が舞うようにして通り抜ける。
太陽の光を浴びずして黄金に輝く光のそれは、薄暗い闇を照らす奇跡の煌きであり、森に住まう妖精達の軌跡。
「イリルったら、もう。先に行っちゃうなんて、ずるいんだから」
ぷう、とさくらんぼのように頬を膨らませて、小さな妖精が呟く。
踊るようにして木々の間をすり抜ける光の目指すものは、森の中心に位置するであろう泉だった。そこには、妖精が慕い信頼するイリルがいるはずなのである。
「まったく……一緒にクイーンベリーを食べようと思ってたのに」
ぶつぶつと不満を洩らしつつ、妖精は速度を落とす事なく泉を目指した。
目指すイリルのいる泉は、すぐそこだ。
「イリルーーーーーっ」
木々の間から漏れる光が見えたとき、妖精はイリルの名を呼んだ。
小さなリスや鹿たちが集まっている泉の入口を潜(くぐ)ると、中心にある樹齢200年以上の大木が姿を現した。
果たして、その側に小さな少女イリルは立っていた。
「イリルっ!」
愛しいイリルの元へと急ぐ。
イリルは大木の前に立ち、泉に足を浸していた。その周りを、森の妖精達が嬉しそうに飛び交っている。
「フェンリル……」
イリルが呼びかけに答えたとき、フェンリルは少女の足元へと滑り込んだ。
フェンリルの秘色(ひそく)の羽から零れ落ちる小さな光が、泉の水面に吸い込まれるようにして消えていく。
「もう、ひどいじゃないイリル。急にいなくなちゃうなんて……心配したんだからね」
「……ごめんなさい」
イリルの周りをくるくると目まぐるしく飛び回るフェンリルを、少女の薄浅葱色の瞳は捉えることが出来ずに彷徨った。
宿しているのは、罪悪感。
それに気付いたのか妖精フェンリルは、イリルの肩へと舞い降りる。
「……いいんだけどさ、別に…………まあ、クイーンベリーなんて後でいくらでも食べれるしね」
「ありがとう、フェンリル……」
少女の柔和な微笑みに、フェンリルは頬を赤らめる。
大好きなイリルの笑顔に、勝てるものなど何もないのである。
「ところで、イリル? ここで何をしてたの? 水浴びなら昨日もしたじゃない」
フェンリルは少女の肩の上に座り込むと、ほんの少しクセのあるイリルの髪を撫でた。透明感のある蜂蜜色で、とても艶のある綺麗な髪だ。
「……お話しをしに来たの……とてもステキなお花を見つけたのよ?」
「お花?」
「……そう……だから見せてあげたくて……」
イリルは、樹齢200年以上の大木を見上げる。
「…………そっか…………きっと、喜んでくれてるわよ……」
「そうね……ありがとう、フェンリル」
イリルに笑顔を向けられて、フェンリルはまた頬が高揚するのを感じた。
少女の透き通った笑顔は、彼女の純粋さの現れであり、フェンリルにとってはとても大切な宝物なのである。
「そういうことなら仕方ないわね。さっきの事には目を瞑って……」
少女の肩から飛び上がったフェンリルだったが、異質な雰囲気を感じ取って言葉を中断した。
そして、くるりと一回転しすると森の奥を見据えて身構えた。
「イリル、誰か来たわ」
少女は、ゆっくりとフェンリルを振り返る。
「……お客様ね?」
今度は、妖精がイリルを振り返った。
「お出迎えしないといけないかしら? イリル?」
くすくすと笑みを洩らしながら、またも一回転する。
「……そうね……」
一瞬考えるようにしたイリルは、泉に浸していた片方の足を引き上げて、静かに何かを口ずさんだ。すると、イリルの体はまっすぐ宙に浮き上がり、大人2人分程の高さのところまで来るとピタリと静止した。
「イリル?」
フェンリルは怪訝な顔でイリルを見上げた。
「……人間だけど……人間じゃないもの……」
「えっ?」
そう言うイリルの表情は、森の奥を見据えたまま変わらない。
しかし、周囲を取り巻いていた妖精達が俄(にわ)かにざわつき始めた。
イリルの言葉に動揺しているのだ。
いけない。イリルを守らなくては。
フェンリルに生まれた危機感は、同じ種族である妖精に瞬時に連鎖し、周囲は緊張に包まれた。
「……来るわ……」
イリルの言葉は、好意的なものではない。
「大丈夫。イリルは私が守ってみせるわ」
フェンリルは、イリルを守るようにして前へと出た。
<つづく>
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わたしの可愛いイリル
あなたのいない世界なんて
……ずっと私が守ってあげる……
一切の陽光を遮るようにして生い茂る森の木々の間を、無数の小さな光が舞うようにして通り抜ける。
太陽の光を浴びずして黄金に輝く光のそれは、薄暗い闇を照らす奇跡の煌きであり、森に住まう妖精達の軌跡。
「イリルったら、もう。先に行っちゃうなんて、ずるいんだから」
ぷう、とさくらんぼのように頬を膨らませて、小さな妖精が呟く。
踊るようにして木々の間をすり抜ける光の目指すものは、森の中心に位置するであろう泉だった。そこには、妖精が慕い信頼するイリルがいるはずなのである。
「まったく……一緒にクイーンベリーを食べようと思ってたのに」
ぶつぶつと不満を洩らしつつ、妖精は速度を落とす事なく泉を目指した。
目指すイリルのいる泉は、すぐそこだ。
「イリルーーーーーっ」
木々の間から漏れる光が見えたとき、妖精はイリルの名を呼んだ。
小さなリスや鹿たちが集まっている泉の入口を潜(くぐ)ると、中心にある樹齢200年以上の大木が姿を現した。
果たして、その側に小さな少女イリルは立っていた。
「イリルっ!」
愛しいイリルの元へと急ぐ。
イリルは大木の前に立ち、泉に足を浸していた。その周りを、森の妖精達が嬉しそうに飛び交っている。
「フェンリル……」
イリルが呼びかけに答えたとき、フェンリルは少女の足元へと滑り込んだ。
フェンリルの秘色(ひそく)の羽から零れ落ちる小さな光が、泉の水面に吸い込まれるようにして消えていく。
「もう、ひどいじゃないイリル。急にいなくなちゃうなんて……心配したんだからね」
「……ごめんなさい」
イリルの周りをくるくると目まぐるしく飛び回るフェンリルを、少女の薄浅葱色の瞳は捉えることが出来ずに彷徨った。
宿しているのは、罪悪感。
それに気付いたのか妖精フェンリルは、イリルの肩へと舞い降りる。
「……いいんだけどさ、別に…………まあ、クイーンベリーなんて後でいくらでも食べれるしね」
「ありがとう、フェンリル……」
少女の柔和な微笑みに、フェンリルは頬を赤らめる。
大好きなイリルの笑顔に、勝てるものなど何もないのである。
「ところで、イリル? ここで何をしてたの? 水浴びなら昨日もしたじゃない」
フェンリルは少女の肩の上に座り込むと、ほんの少しクセのあるイリルの髪を撫でた。透明感のある蜂蜜色で、とても艶のある綺麗な髪だ。
「……お話しをしに来たの……とてもステキなお花を見つけたのよ?」
「お花?」
「……そう……だから見せてあげたくて……」
イリルは、樹齢200年以上の大木を見上げる。
「…………そっか…………きっと、喜んでくれてるわよ……」
「そうね……ありがとう、フェンリル」
イリルに笑顔を向けられて、フェンリルはまた頬が高揚するのを感じた。
少女の透き通った笑顔は、彼女の純粋さの現れであり、フェンリルにとってはとても大切な宝物なのである。
「そういうことなら仕方ないわね。さっきの事には目を瞑って……」
少女の肩から飛び上がったフェンリルだったが、異質な雰囲気を感じ取って言葉を中断した。
そして、くるりと一回転しすると森の奥を見据えて身構えた。
「イリル、誰か来たわ」
少女は、ゆっくりとフェンリルを振り返る。
「……お客様ね?」
今度は、妖精がイリルを振り返った。
「お出迎えしないといけないかしら? イリル?」
くすくすと笑みを洩らしながら、またも一回転する。
「……そうね……」
一瞬考えるようにしたイリルは、泉に浸していた片方の足を引き上げて、静かに何かを口ずさんだ。すると、イリルの体はまっすぐ宙に浮き上がり、大人2人分程の高さのところまで来るとピタリと静止した。
「イリル?」
フェンリルは怪訝な顔でイリルを見上げた。
「……人間だけど……人間じゃないもの……」
「えっ?」
そう言うイリルの表情は、森の奥を見据えたまま変わらない。
しかし、周囲を取り巻いていた妖精達が俄(にわ)かにざわつき始めた。
イリルの言葉に動揺しているのだ。
いけない。イリルを守らなくては。
フェンリルに生まれた危機感は、同じ種族である妖精に瞬時に連鎖し、周囲は緊張に包まれた。
「……来るわ……」
イリルの言葉は、好意的なものではない。
「大丈夫。イリルは私が守ってみせるわ」
フェンリルは、イリルを守るようにして前へと出た。
<つづく>
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DRクロニクル、始まったですね~(*・ω・)ノおめでとう~
開始早々、るぴさんの豊かな感性から描かれる描写にメロメロでふ(*´◇`*)
かっぱが逆立ちしてもでてこないボキャブラリー(゜◇゜*)はぁはぁ
まだ始まったばかり。これから楽しみに読ませてもらうですにゃ(・∀・)/
・・・かっぱもがんばらねば~(;´ρ`)あぅ
by K-STYLE (2010-02-17 09:47)
かっぱちゃんありがとう~(*´Д`*)ノ
ずっと3人称してなかったので緊張したよww
(⊃д⊂)メロメロだなんてw嬉しい褒め言葉ですにゃ
セイバーさんと一緒に頑張るおw
かっぱちゃんもファイト♪
by ルピナス (2010-02-18 11:05)